ダサくてかわいい黄色のあいつ

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車1台とバイク3台。
合計すると10輪になる、所有する乗り物たち。
厳密に言うと、自転車もあるから12輪なんだけど。

18歳で原付免許を取ってから、乗り物が無い生活を送ったことがない。
車は東京に住んでからは諦めていたけど、大阪に来て我慢出来ずに乗ってしまった。

過去乗り継いできた乗り物たちにはどれも、素敵な思い出がたくさんあって、
それぞれの思い出で小説くらい書けそうな勢い。

最初に買った原付との出会いは、大学近くの中古バイク屋で。

ダサくてかわいい黄色の原付で、バイト代が入るまで我慢できずに、
姉にお金を借りてまで買った、ヤマハのパッソーラというスクーター。

とにかくパワーが無く、坂の途中で止まると
足でアシストしないと登りきれないという、衝撃的な原付だった。

それでも、そのダサくて黄色い原付で大学にも通ったし、
悪ノリして3ケツで乗り回して遊んだり。

とにかく出足が遅いのだが、少しスピードに乗ると、
ギアが切り替わって、すこしだけ早くなる独特の2段階変速が面白かった。

半年くらい乗ったところで、スーパーカブに乗り換えてしまった。
しばらく放置した後、最後は友達に貸したまま、どこか行方不明になった。
その後も、毎年春になると役所から税金の交付だけが届いて、
その度に少しだけ胸が傷んだのを覚えている。

たまに道端で朽ちた原付を見る度に、
あの、ダサくてかわいい黄色のあいつを思い出す。
だからってわけではないけど、
いまの車も鮮やかな黄色。

12年落ちのプジョー306カブリオレ。
たまに壊れたりするけれど、フランス車らしい優しい乗り心地と機敏な加速で、
まだまだ元気に走ります。

同じ黄色の乗り物だけど、
ダサくてかわいい黄色のあいつみたいに、
素敵な思い出はまだつくれていない。

相変わらずガラ空きの助手席には、
亀のおもちゃが転がっている。

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