冴えない男とタワマンと

はっち、年賀状戻ってきちゃったよ。
ドコモのメールも届かないし、どうなってんの?

みたいなショートメールが古い友人から来た。
(ちょっと前になりますが)

彼とは、最近こそ年賀状だけを送り合う間柄になってしまっているが、出会いは高校1年生くらいだから、付き合い自体はかれこれ25年くらいになる。書いてて自分でも時間の流れにびっくりするけど。

彼はいわゆる大学の先生をやっていて、年賀状を見る限りだと学会などでシンガポールだの、フランスだのと世界中を飛び回っている様子。たまに会うと、ちょっといけ好かないエリートな雰囲気を醸し出してしまう程度には“イケてる”感じのシュッとしたやつなのだ。

ただ、今は“シュッと”したイケてる感じを出している彼だが、出会った頃はもちろんのこと、学生時代もその後しばらくも、ハッキリ言ってパッとしてなかった。明らかに私と同類の冴えないやつだった。(と思うぞ)

まぁ、いまはちょっとイケてる感じがしなくもないのだが、当時は明らかに冴えないやつだったのだ。(大事なことだから2回言います)

冴える、冴えないの基準はいろいろあるけど、とりあえずわかりやすい例を挙げると、俺たちはとにかく全くモテなかったのだ。

仲の良い高校の同級生達は、割りとモテモテ系の奴が多かったこともあり、俺たちの自尊心は傷つきまくって、今以上にこじらせていたのだ。バスケも下手だったし、特に目立つ特技もなかったし、(彼は知らんが)私はモテるための努力も特にしていなかったので、当たり前といえば当たり前なんですけどね、今思えば。

まぁ、神奈川の外れの県立の中堅校なんて、そもそもすげーイケてる奴なんてほとんどいないんだけど、そんな学校でもスクールカーストの真ん中の下のほうで「その他の空気のような男子」の一人でしたね、確実に。

高校を卒業して、大学生になっても特に変わらず冴えないままで「桐島、部活やめるってよ」の神木隆之介の周りの友達から、「モテキ」のモテ期が来る前の森山未來って感じだと思ってもらって、ほぼ差し支えない。

で、モテない者同士でよく一緒に遊んでいたのだが、私と違って彼の偉いところはその頃からコツコツと努力をしていたところだ。凝り性な性格もあっただろうし、運もあっただろうけど、たぶん一番の原動力は、「冴えない自分」が悔しかったのだと思う。

その後、院に進んだ彼は、努力を続けて狭き門である大学の教員になるわけなんだけど。受かったよ、と連絡をくれた時に、言われた一言は忘れられない。

はっち、あの時言ってくれたじゃない?
「なれると思ったら、なれるんだ」と。
本当になれたよ。

彼が大学の教員になろうと思っていると聞いて、私が言ったらしい。

いわゆる中二病的な、俺たちはなんにでもなれるんだ。っていう意味で言ったわけじゃなくて、自分がなれると思えたってことは、なれるんじゃないかと考えたのだ。

私は大学の教員になりたいとは1ミリも思わなかったし、なれるとも思えなかったので、当然なれない。お笑い芸人になろうとも、なれるとも思わないので、なれない。でも、思えた人はなっている。客観的に自分を見つめて「なりたい」「なれる」って思えたってことは、なれるんじゃないかっていう理屈だったと思う。

で、実際なれるんもんなんだねって、自分の言葉に自分が勇気づけられて、なんとか今までやれてきたのかもしれない。

そんな彼は品川にタワマン買ったよって、サラッと。あんなにモテないコンビだったのに、いつの間にか差がついたもんだ。猿岩石かよ。

そんな差がついてしまった感じの私ですが、それなりには頑張ってきましたよ。
彼と同じように冴えない自分のままでいたくなかったので。

イケてるクリエイティブ・ディレクターになりたいと思ったけど、正攻法では絶対になれないんで。たいして興味も無かったデジタルマーケティング領域やら、ストラテジック領域やら、統合マーケティング設計やら、出来ることはなんでもやりました、それこそ週末も朝も夜もなくとにかくがむしゃらに。結果、スキルやら経験やらはこの業界であれば、特に困らない程度には身につきました。でも想像してたような成果はなーんにも出ず。合掌。まじ可哀想自分。

毎年毎年、今年こそ、今年こそ、なにくそ。いまに見てろ。舐めんなよ。とやってきましたが、このままのやり方だと無理そう。いや、もしかすると、あともうちょいかもしれない…めちゃめちゃ遠回りしたんだし、もったいなくない?と。

でも、もう5年くらい足踏みしてるんで、一旦お休み。ストップ。冷静に自分を見つめ直して、なりたい自分も含めてリセット。仕切り直してみようと思いました。

なりたい、なれると思ったら、なれるんじゃなかったのかよ。おい、あの頃の自分、テキトーなこと言ってんじゃねーよ。でも、まだ諦めたわけじゃないぞ、コンチクショー。

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