おなじ話

ハンバートハンバートの「おなじ話」。大好きな曲です。
売れてほしいけど、売れてほしくない。ハンバートハンバートについて、誰かのコメントでそんなことが書いてあった。なんとなく、自分の中だけにそっとしまっておきたい音楽なのかもしれない。

ハンバートハンバートにはちょっとだけ思い出がある。
その昔、好きな女の子がいて、そのひとが好きだったんですよね。

なんとも自由な空気をまとったひとで、旅やら音楽やらファッションやらアートやら、やたらなんでも詳しくて、すべてが個性的で、なんて素敵なひとなんだろうと思って密かに憧れていた。

きっかけは忘れてしまったが、自然と二人で話すようになって、仲の良い友達になれた頃。二人でご飯を食べた帰り道で、彼女が突然「わたしのこと、気になるんでしょ?今日どーすんの?」そう言って、あっけにとられる僕を見て、ニッといたずらっぽく笑った。

彼女曰く、一般ウケはしないけど、マニアックなひとには好かれるので、自分に興味があるタイプはすぐにわかるらしい。まぁ、わかったとしても自分から言うかどうかは別の話しだと思うけど。いま思い出しても、彼女らしいエピソードだなぁと。

そんな彼女に誘われてライブに行ったのがハンバートハンバートでした。
三茶にある世田谷パブリックシアターの2階席で、舞台装置が絵本の世界のように可愛くて、二人の衣装も同じ世界感で凝っていたのを覚えている。音楽も素敵だったと思うんだけど、その時は隣の彼女が気になって、たぶんちゃんと聴いていなかった気がする。

その後、あいまいな関係がちょっとだけ続いて、あっけなく会わなくなって疎遠になって、薄ぼんやりとした思い出と、彼女がセレクトしてプレゼントしてくれたミックスCDだけが残った。そのCDの中にもしっかりとハンバートハンバートが1曲選ばれていた。曲はバビロンだったけど。

そんな彼女も、いまや腕白な男の子の母親だ。
インスタグラムで見る限り全然変わってなくて、相変わらずめちゃめちゃ素敵なひとである。

安いドラマのワンシーンみたいなことが人生にはたまに起きる。
そんな思い出の風景に、ハンバートハンバートはよく似合う。うん、やっぱり売れてほしいけど、あまり売れてほしくない。そう思った。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。