表参道の交差点から一本奥に入ったところ、サブウェイの並びに古くからの喫茶店があったはずなのだが、今日通ったらすっかり無くなって、真っ白な貸し店舗のように空っぽになっていた。
まるで、そこには元からなにも無かったかのように。
その喫茶店はバンという名前で、その昔、父のお気に入りの喫茶店だった。
半年から1年くらい前までは、営業している風だったのに。
大人になってから、交差点を通る度に何度となく入ってみようと思いながら、まぁそのうちに、なんて思っていたらこうなる。ほんと後悔ばかりの人生でございます。
当時、何度か父に連れられてバンには行っていたのだが、コーヒーサイフォンと、インベーダーゲームと、タバコの匂い、そして勝気なママと、ランドセルが似合わない大人びた娘の記憶が残っている。